18番 恩山寺 ―母への思い―
2009年11月18日 09:52
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恩山寺の恩とは、母親への恩のこと。
大師がこの寺で修行していたときに、
母である玉依御前が訪ねてきたのだが、
この寺は女人禁制であった。
そのため、大師は修行を極め、
女人解禁の秘法を修めることで母君を迎え入れ、
その後この寺で孝行したと言われている。
大師堂に寄り添うように、玉依御前の黒髪が祀られている。
また、このお寺には、「擦袈裟」というものがある。
別名「袈裟曼荼羅」ともいい、
僧侶の袈裟の内に梵字で曼荼羅を書いたものである。
摺るは版木で印刷するという意味で、
版木で印刷された曼荼羅が四角い紙に包まれていて、
それがお守りになっている。
所持していれば、万病を治癒し、
「滅罪生善(悪いことを良いことに変える)」の効果があるそうだ。
また、棺に入れると必ず極楽浄土へ往生でき、
仏壇の中へ入れると供養にもなるとも言われている。
この摺袈裟の授与があるのは、八十八ヶ所でも唯一で、
宗派も問わないそうなので、
巡拝できなかった方へのお土産にもいいかもしれない。
寺に入る近くに、びらんじゅという天然記念物の木がある。
樹皮がないところを、
負けると着るものも失ってしまう博打とかけて、
博打の木とも呼ばれるそうだ。
赤茶色の不思議な幹肌を撫でてみると、少し冷たいと感じた。
胡桃割るときの真顔の母似かな る理 (野口る理 記)