15番 国分寺 ―過去を未来へ手渡すこと―
2009年11月18日 09:45
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ここは、天平13年に、聖武天皇が全国に建立した、国分寺のひとつだ。
八十八ヵ所には、四国各県に、一箇所ずつ、
同じ「国分寺」という名前の寺があるが、
それらは全て、このときに建てられたものだ。
歴史の長いお寺だけあってか、
鐘つき堂も、本堂も、山門も、ほかと比べて大きく見えた。
鐘楼の前には、旧国分寺の礎石が残っていた。
大きな一枚岩で、触れてみると、こころなしか冷たかった。
その冷たさに、重ねてきた時間の長さを、ふと思ったりもした。
現在は、住宅地に囲まれて建っているが、
昔は、もっともっと広い境内だったという。
なんでも、36もの寺院があったのだそうだ。
今でも、周辺の田からは、当時のものがよく出土するらしい。
「昔は、ここが徳島の中心だったんですよ。
ほら、いまの、県庁所在地みたいな。」と長野さん。
他にも、ここのお寺には、烏枢沙摩明王がまつられている。
ここのお札をトイレに貼ると、
下半身の病気に効くのだそうだ。
それを目当てにこられる方もたくさんおられるとのこと。
現在、枯山水を工事しているところだった。
塀の上からのぞくと、太古の遺跡のように大きな岩が、
たくさん配置されてあった。
あと数年のちには、立派な庭園が見られるようになるはずだ。
古いものを手入れして、次の世代に渡していく。
その営みが、八十八ヵ所を支えているのだと思った。
秋風やふるき瓦のしらみたる 紗希