31番 竹林寺 ―はりまや橋の坊さんは―
2009年12月 7日 12:50
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朝から降っていた小雨が、強くなってきた。
歩きのお遍路さんは、
合羽を来たり、そのまま雨に濡れたりで、
そのからだの冷たさを想像すると、
しんしんと骨が冷えてくる気分になる。
竹林寺は、八十八ヵ所で唯一、
文殊菩薩がご本尊となっているお寺だ。
文殊菩薩像は五十年に一回しか開帳されない、
レアなものだという。
他にも、総ヒノキ造りの五重塔も、
四箇所にしかない珍しいものだそうだ。
高知といえば、
「土佐の高知の~はりまや橋で~坊さんかんざし買うを見た~」
という歌を思い出される方も多いだろう。
この歌詞の中に出てくるお坊さん、実は、
この竹林寺の修行僧だったというのだ!
彼の名はジュンシンと言って、あるとき、
自分の恋人に珊瑚のかんざしを買ってあげた。
それが、このように歌となって、
人口に膾炙するようになったというわけだ。
ちなみに、高知は、珊瑚の加工品生産、日本一の県なのだそうだ。
珊瑚のかんざしというのも、ゆえんがあるのである。
また、このお寺には、猫塚があったり、
猫のからだに、模様として「北」の文字が
浮かび上がってきたことを顕彰する碑があったり、
猫にゆかりがあるようだ。
と思っていたところ、小径から、さっと猫が一匹出てきてた。
どこへ行くのかと思ったら、
座禅をしている仏様の像のひざのところに、
ぴょんと飛び乗ったのだ。
まるで、涅槃図のようだった。
猫のお好きな方は、このお寺に来たとき、
トラ猫くんのことも、思い出してみてください。
三毛猫の痩せて元気や秋の風 紗希
(神野紗希 記)