33番 雪蹊寺 ―参拝するという気持ち―
2009年12月20日 13:28
記事一覧に戻る
ここは、八十八箇所に、二つしかない、禅寺のうちのひとつだ。
地元の豪族、長宗我部氏の菩提寺としても知られている。
本堂は、平成十六年に新築されたばかりで、
瓦もうつくしく、とてもきれいだ。
中には、鎌倉時代の仏師、運慶の作といわれている、
薬師如来像や脇侍の日光、月光菩薩像が祀られている。
前の32番札所と雪蹊寺の間には、大きな浦戸湾があるので、
陸路で行こうとすると、ぐるりと遠回りをしなくてはいけない。
そこで、湾の端と端をつなぐ連絡フェリーが考えられ、
お遍路さんたちは、このフェリーを利用して、
対岸に渡っていたのだ。
今では、大きな橋が架けられたので、
そちらを利用する人が多いようである。
今でも、通いにくいお寺、難所の道はたくさんある。
そのままでいいという人もいるようだが、
私は、便利になること自体はいいことだと思う。
もちろん、山門を自動ドアに改良したり、
納経を自動の機械で済ませてしまったりすることは、
何か違うと思うが、苦労していた道のりを、
少しでもやわらげる努力は、決して悪いことではないだろう。
そうして開墾されてきた道が、
四国の交通を支えている。
大切なのは、参拝する気持ちなのだ。
その根本を忘れずにいたい。
電柱をあふるる蔦や秋遍路 紗希
(神野紗希記)