私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

37番 岩本寺 ―三度、実をつける栗―

2009年12月20日 13:45 記事一覧に戻る

 

変換 ~ IMG_1969.jpg 37番 

 

 

岩本寺に向かう途中、よこなみスカイラインという道を通った。

 

「このへんは、別荘も多いんよ。」といいながら、

長野さんが車を止めてくださったのは、

土佐湾が一望できる、絶景ポイント。

よくパンフレットの写真を撮るのにも利用される場所なのだとか。

 

水平線が、視界におさまりきらないほどに、ひらけたところだった。

「きれい」とか「すごい」とかいう言葉では、

ぜんぜん足りないと思った。

 

「岩本寺の次に向かう足摺岬が、ほら、あそこに見えるでしょ」。

長野さんの指差す先に目を凝らすと、うっすらと半島が見えた。

遠くかすんで、なんだか幻のようだった。

 

 

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岩本寺には、いくつもの見所がある。

 

本堂の絵天井は、地元の人を中心に、

プロアマ問わず、みんなが描いた絵で出来ている。

 

また、ここのお寺は、いくつかのお寺をまとめて出来ているそうで、

ご本尊が、普通はひとつのところ、五体もある。

八十八ヵ所めぐりでは、そのお寺のご本尊の真言を

三度繰り返して唱えることになっているので、

このお寺では、5×3のご真言が必要になる。

 

 

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中でも珍しいのは、境内斜め向かいにある、三度栗。

 

その昔、このお寺の栗の木をとるために、

子どもたちが集まっていた。

しかし、その輪から外れている子がいたので、

お大師さまが声をかけると、

「栗が少ないから、僕の分までまわってこないんだ。

もう少し栗がたくさんなってくれたらなあ・・・」と言った。

そこで、お大師さまが、年に三回、

栗が実をつけるようにしてくれたのだという。

 

今でも、実際に、三回、実をつけるのだそうだ。

いくつかの木の中にあって見つけにくいが、

確かに栗の木があった。

 

 

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山門の手前の和菓子屋では、栗のシーズンに、

この三度栗にちなんだおまんじゅうを売っているのだという。

「いつからですか?」と聞いてみたら、

「あと一週間くらいしたら・・・九月に入ったらね」ということだった。

ニアミスで残念だったけれど、またの機会にチャレンジしたい。

 

 

変換 ~ IMG_1985.jpg フリー 

 

 

膝閉じて眠る子どもや栗の花  紗希

 

                     (神野紗希 記)