私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

39番 延光寺 ―いぶきの木が見てきたもの―

2009年12月20日 14:05 記事一覧に戻る

 

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38番札所の金剛福寺がある足摺岬から、

四万十川を横目に、車で一時間。

車内でうつらうつらしている間に、延光寺に到着する。

高知県で最後の札所だ。

 

山門をくぐるとき、やけに視線を感じるので、上を見上げてみた。

 

 

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ぎろりとこちらを見る、山門の木彫。

寝ぼけていた眼が、ぱっと目覚めた。

 

 

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延光寺は、赤亀が屯所をしょってやってきたといういわれがある。

境内には、山門を出てすぐのところに、その赤亀の像が置かれていた。

意外とリアルな亀の顔に、徳島の日和佐の海亀センターで見た、

海亀たちを思い出したりもする。

 

 

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さて、延光寺には、眼洗い井戸なるものがある。

 

 

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この井戸に湧く水で、まぶたを洗うと、

眼病にご利益があるのだそうだ。

私は、今のところ、視力もいいし、特に困ったところもないが、

パソコンを長時間触ると、やはり疲れ目になるので、

試してみることにした。

 

柄杓にとった水をまぶたにつけると、思ったよりも冷たくて、

また、目の覚めた思いがした(どれだけ眠かったのか)。

 

 

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帰り際、駐車場の傍に、

「樹齢500年いぶきの木 天然記念物」の看板。

その指す方向には、立派な古木がたっていた。

 

500年とは、一体、どのくらいの時間なのだろうか。

私たちが生きているのが、せいぜい80年。

私など、まだ26年しか知らない。

いぶきの木が見てきたものを、私はどれだけ、

この生の中で知ることができるのだろうか。

決していいものばかりでないのは分かっているが、

それでも、できるかぎりのことを知りたいと思った。

いぶきの木の年月の蓄積に、私の小ささを思う時間でもあった。

 

 

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かなかなや古木は舟のかたちして  紗希

 

                     (神野紗希 記)