47番 八坂寺 ―地獄と極楽―
2010年2月 3日 17:20
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前の札所から車で数分、八坂寺に着く。
松山市内のお寺は、距離が近く、まわりやすいのだ。
「このお寺にはね、地獄と極楽があるんよ。」
長野さんは、お遍路さんというのは、全体に、
この地獄と極楽ということに敏感だという。
もしかしたら、お遍路をまわるということは、
死について考えるということも含まれているのかもしれない。
閻魔堂の、左が地獄の道の入り口。右が、極楽の道の出口。
地獄から入って、極楽から出ると、極楽浄土へいけるのだという。
地獄の門をくぐると、短いトンネルの道がある。
大きく不ぞろいの石が敷き詰められており、足元が痛い。
両脇には、地獄で責め苦にあう人々の様子が、残酷に描かれている。
それが終わると、極楽の道へ。
ここは、砂利がきれいにしきつめられた舗装された道で、
両脇に描かれた絵も、極楽で幸せに暮らしている、
満ち足りた人々の様子に変わっている。
死後の世界について、私たちは誰も知らない。
だからこそ、死の訪れたあと、
自分がどうなるのかということを想像するのは、
とても怖いことなのだろう。
そんな、知らないものへの恐怖心を、
たとえば閻魔堂というかたちで、少しでも軽くしてくれる。
地獄とか極楽とか、詳しいことは私にはわからないけれど、
こうしてお遍路をくりかえし、
ご利益があるとされていることをくりかえしていると、
ほんの少し、死ぬという未知のものへの思いが、
やわらいでくるような気がするのだ。
蓮池の隙間に空の映りけり 紗希