80番 国分寺 ―あるべき場所―
2010年4月30日 20:35
記事一覧に戻る
讃岐の国分寺。
ここの鐘は、非常に良い音だそうだ。
国分寺の鐘がよく鳴るという噂を聞き、
高松の殿様は鐘を持ち帰るように命じた。
そして、鐘を運ぼうとしたが,なかなかうまくいかず、
やっとの思いで持ち帰った鐘は、城の時を告げる鐘となった。
しかしそれ以降、街では怪奇現象が起こり、
殿様は病にかかってしまう。
鐘の音は、変な音で「国分へいぬ(帰るの意味)」と鳴るので、
ついには鐘を国分寺に返すことを決めた。
すると殿様の病気も治り、鐘もまた良い音になったという伝説がある。
自分にとって良い場所にいると、
良い自分でいられるという感覚はよく分かる。
あるべき場所、というものを持っている鐘だからこそ、
良い音が鳴るのであろう。
他には、福松という変わった形の松がある。
偶然がすでにわざとらしくて不思議だ。取ってつけたようなかたち。
ミニ88ヶ所巡りもできる。
こうして振り返ってみると、
もうあと少しなのだということを実感させられる。
裏口に蔦の迫るや鐘の音 る理
(野口る理 記)