私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

77番 道隆寺 ―目治し薬師とラッキーセブン―

2010年4月30日 19:41 記事一覧に戻る

 

変換 ~ IMG_2824.jpg フリー

 

道隆寺は、通称、目治し薬師さんと呼ばれている。

眼病一般に、ご利益があるとされているのだ。

 

 

変換 ~ IMG_2953.jpg 77番

 

 

納経所には、眼病平癒祈願のお札があった。

これが、一風変わっている。

ただ、お札を買って、部屋に飾るだけではないのだ。

 

お札を入れた袋の中には、ほかに、

一枚の用紙と、返信用封筒が入っている。

この用紙には、升目があって、

自分の年の数だけ、平仮名の「め」を書いて升目を埋めていく。

書き終わったら、それを道隆寺宛の返信用封筒に入れて、

切手を貼って、ポストに投函する。

そうすれば、住職がご祈祷して、

「め」を書いた用紙を奉納してくれるのだという。

 

 

変換 ~ IMG_2960.jpg 77番 

 

 

実は、私の祖母は、数年前から、目を悪くして、

これまでに二度、手術をしている。

視力が落ちて、ものがよく見えないのだ。

「新聞も読めん。テレビも見れん。つまらん。」といっては、

寂聴さんの法話のテープを繰り返し聞いている。

あんまり聞きすぎて、擦り切れてしまったほどだ。

  

その祖母に、このお札をいただいて帰ることにした。

もちろん、治るか治らないかは、分からない。

でも、普通のお札よりも、

自分で「め」の字を書くということをする分、

ご利益が大きい気がする。

それに、札所は、ラッキーセブンの77番。いい数字だ。

 

祖母は、持ち帰ったその日に、升目を埋めて、

近くのローソンにあるポストに、投函しにいった。

「年の数だけ言うけん、数えながら埋めていったら、

もう76歳やわい。そりゃ目も見えんなるわいねぇ」と、

祖母は、いつもの、満面の笑顔を見せてくれた。

 

 

変換 ~ IMG_2955.jpg フリー 

 

 

新聞を読む祖母遠し牽牛花  紗希

 

                         (神野紗希 記)