私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

85番 八栗寺 ―自分への厳しさ―

2010年5月11日 19:25 記事一覧に戻る

 

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タクシーを運転しながら、

「ここは、ケーブルカーに乗っていくよ」と長野さん。

 

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「次に出るのは9時20分だから、それに間に合わせようか。

20分おきに出とるから、急がなくってもいいけどね。大丈夫?」

札所へ行くケーブルカーの時間までおさえているとは、

おそるべし、長野さん。

 

でも、長野さんに言わせれば、百回以上まわれば、

自然と覚えてしまうのだという。

お寺の山門や大師堂を見ただけで、

88のお寺のどこのものか、すぐに分かるそうだ。

まったくの初心者である私たちには、本当に心強い先達だった。

 

 

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なんなく間に合ったケーブルカーには、たくさんの人が乗っていた。

みんなお遍路さんかなと思っていたら、そうでもないらしい。

 

この八栗寺の境内には、商売繁盛の神様である歓喜天が祀られていて、

商売をしている人が、よくお参りにくるのだという。

特に、その日は、縁起がよいとされている日で、

月参りに来る人がたくさんいたのだ。

 

 

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八栗寺の名前の由来は、お大師さまが唐に留学する前に、

仏教の勉強がきちんとできるかどうか願をかけて、

焼き栗を八つ植えていったら、戻ってきたときに、

すべてが成長して葉を茂らせていた説話からきている。

地元の人は「八栗のお聖天さん」

(ご本尊が聖観世音菩薩なので、お聖天さん)と呼んで、

親しんでいるという。

 

「ただの栗じゃなくて、焼いた栗を埋めていくところが、

自分に厳しいよね」と、る理ちゃん。まさに。

 

 

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境内には、お寺の方が撮った写真が飾られていた。

季節季節の八栗寺の様子が、その写真の中にはあった。

紅葉、雪、桜・・・どの頃に来ても、

うつくしい景色をみることができるようだ。

私たちが訪れた頃には、紫陽花が咲いていた。

山の冷気の中で、花弁のむらさきが、より一層、澄んで見えた。

 

 

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涼しさや羽虫よぎれる日矢の幅  紗希

 

                       (神野紗希 記)