私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

21番 太龍寺 ―すこし空に近い場所―

2009年11月18日 09:58 記事一覧に戻る

 

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日程表を見ると、鶴林寺と、ここ太龍寺の間に、

「ロープウェイ」の文字が。

あれ?今日は、観光も予定にあるの?

 

 

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いや、そうではなかった。太龍寺は、山の上にあるのだ。

ロープウェイは、お寺まで行く、手段なのだった。

 

 

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そんな高い険しい山の奥にあるお寺だなんて・・・

昔の人は、どんなにか苦労して参拝しただろうと、

及ばない想像をしてみる。

 

今でも、歩き遍路の中には、ロープウェイをつかわずに、

本来の遍路道を歩いてこられる方がいらっしゃるそうだ。

「今でも難所なんですよ」と、車内アナウンスのお姉さん。

 

 

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所要時間は、およそ十分。

那珂川が見え、山林にさしかかり、

途中には、山頂に建てられた弘法大師像を見ることもできた。

 

ここのロープウェイには、景色に加えて、

ある驚きがかくされている。

 

 

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そう、足元に、下が見えるようになっている場所があるのだ。

高いところが苦手な私は、おそるおそる下を覗き込んだが、

網の目が細かかったので、よく見えるわりには、

恐怖感が少なく、安心した。

運のいいときには、森の中に、

鹿がいるのを見つけることもできるらしい。

 

 

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山頂の空気は気持ちよく、吸うたびに、

からだの中の粒子がきれいなものに入れ替わっていくようだった。

お寺は、立派な造りだったし、

納経所のとなりには、竜天井の有名な建物もあった。

杉の木たちも年季がはいっていて、

太い幹が並んでいるのが圧巻だった。

 

戻りのロープウェイは、私たちの貸切状態。

いろんな場所から、景色を見ることができた。

乗る前にいただいた、お接待のきのこ茶も、

きのこのスープのようで、

山の冷気にひやされた体をあたためてくれた。

 

 

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杉と杉ぶつからず立つ白露かな  紗希

 

                 (神野紗希 記)