76番 金倉寺 ―返し松と大きな数珠―
2010年4月30日 19:00
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町の中に寺があるということ。
ここは昔、牛の市場と栄えていて、とても賑やかだったそうだ。
乃木将軍妻返し松、という松がある。
戦時中、乃木将軍は客殿を仮住まいにしていたことがあった。
そして妻が、ここに会いにやって来たのだが、
将軍は、家来もみんな妻に会えずに頑張っているのに、
自分だけ会うことはできないと、
やって来た妻を会わずに返したのだそうだ。
自分に厳しい、将軍らしい人柄に今も参拝しにくる人が絶えない。
本堂の前には願供養念珠という、大きな数珠が吊り下げられている。
この大きな数珠をぐるぐると回すと、願い事が叶うらしい。
数珠の大きな一粒一粒が、カタカタと落ちるのは、面白くて、
自分が小さくなってしまったかのような不思議な感じがする。
会ふ人は会ひたき人ぞ初紅葉 る理
(野口る理 記)