13番 大日寺 ―国境を越えて―
2009年11月10日 17:00
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大日寺の山門を入ると、幸せ観音という観音さまがある。
合掌の手のかたちの中に入っている観音さま。
「おててのしわとしわを合わせると、しあわせ・・・」
という文句を思い出させる形だ。
ここのお寺は、実は住職さんが、
韓国人の女性だということで有名なのだそうだ。
八十八ヵ所のお寺の中で、唯一、
日本人でない方が、住職をされているのだとか。
その方は、もともと、前住職の奥様で、
前住職が亡くなったときに、住職を引き継いだのだという。
「ドラマやドキュメンタリーで、よくテレビに出とるんよ」
と長野さんに言われて、そういえば、
韓国の舞踊の先生と電撃的に出会って、
結婚した住職さんのドキュメンタリーを見たのを思い出した。
あれがそうだったのか!
お寺を引き継いで守っていくということは、
並大抵のことではないだろう。
きちんと掃かれた境内や、丁寧に並べられたお守り売り場を見て、
その苦労の一端を拝見したような気がした。
朝早かったので、住職にお会いすることはできなかったが、
そのお寺の、静かながらも丁寧なたたずまいが、
寺を守るその人を体現していると思った。
桔梗やあかつき歩く鈴の音 紗希
(神野紗希 記)