私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

45番 岩屋寺 ―岩を見上げるための道―

2010年1月25日 10:35 記事一覧に戻る

 

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「明日は岩屋寺かあ。あそこは厳しいぞ。

ちゃんと歩ける格好でいくように。」

昨夜、父に電話すると、そう注意された。

 

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長野さんも、

「ここばっかりは、車でのぼってあげれんけん。

片道、20分くらいかな。でも、そういうお寺も、

いくつかはあってもいいでしょ。」と言い、

駐車場そばの売店で、杖を貸してくれることを教えてくれた。

 

 

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杖をつきながら、山道を、石段を、どんどん登っていく。

そろそろかな?と思っていたところにやってきたお遍路さん、

すれ違いざま、「まだまだこれからぞ、頑張って!」と一言。

ええっ?まだまだなの?そろそろ限界かも・・・。

 

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こうして、長い道のりをのぼっていると、杖の大切さが身にしみる。

杖を地面につくことで、自然と力が入るし、

転びそうになることも少ない。

「転ばぬ先の杖」という言葉を、身をもって実感する。

 

 

もうすぐ到着というところに、橋があった。

これまでの道と同じように杖をつこうとすると、向かいから来た方に

「橋の上で、杖はついてはいけないよ」と教えてもらった。

なんでも、お大師さまは、昔、橋の下で寝たことがあるのだという。

だから、お遍路さんの金剛杖は、橋を渡るときには、

ついてはいけないことになっているのだそうだ。

まだまだ、知らないことが、たくさんある。

 

 

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お寺は、山のように巨大な岩にもぐりこむようにして建っている。

建物の屋根の途中は、岩があるので、途中できれてしまっている。

 

 

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岩のせり出し具合は、写真だとなかなか伝わりにくいのだけれど、

実際にその下に立ってみると、その圧迫感は、まさに圧巻だ。

 

はしごを上っていくと、この岩の洞につく。

ここは、昔、お大師さまが修行をされたところだそうだ。

今は、願いをよくかなえてくれるお不動さんが祀られている。

ちょっと高いところだけれど、岩肌はひんやりして気持ちがいい。

見晴らしもいい。

 

 

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帰り道は、バスツアーのお遍路さんがあがってくる途中だった。

「こんにちは」「おはようございます」と、

声を掛け合いながら、すれ違っていく。

お年を召した方も、若い方も、男性も女性も、

痩せた方も眼鏡の方も、本当にたくさんの人がいる。

みんな、なぜお遍路に来ているのだろう。

そんな疑問がよぎりながらも、「こんにちは」の声のあかるさに、

こちらが元気付けられていく。

 

 

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バス遍路にぎやか百合を嗅ぎもして  紗希

 

                      (神野紗希 記)