私のお遍路体験記 ~八十八ヶ寺と奏でる私の詩~

51番 石手寺 ―信じる力―

2010年2月20日 18:35 記事一覧に戻る

 

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ここは、お遍路さんの祖、衛門三郎ゆかりの地だ。

 

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衛門三郎は、松山の大地主で、とても強欲な人だった。

そこで、托鉢僧に姿を変えたお大師さまが、

七日間、三郎を訪ねたのだが、三郎は、ことごとく追い返した。

 

そこで、お大師さまの怒りをかって、

八人いた子どもが、次々と亡くなってしまった。

 

三郎は、お大師さまに許しを乞うため、

お大師さまを探して、四国のお寺を回るようになった。

その回数は、8年で、20回にも及んだという。

 

そしてついに、亡くなる直前、

お大師さまに会うことがかなった。

それで、許しをもらって、成仏した。

 

お遍路は、もともと、お大師さまを探す旅だったのだ。

 

 

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この三郎は、亡くなるとき、お大師さまに、

生まれ変わったら人の役にたつ人間になりたいと願った。

そこで、お大師さまは、彼に石を渡して、

大事に持っておくようにといった。

 

その後、三郎の子孫の河野家に、男の子が生まれたが、

その子は、三歳になるまで、手を握ったままひらかなかった。

三歳のとき、無理やりひらいてみたら、

三郎がお大師さまにいただいた石が握られていたのだという。

 

その、男の子が握っていた「玉の石」が、

この石手寺には祀られている。

それで、お寺の名前も「石手寺」なのだそうだ。

 

 

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他にも、石手寺には見所がたくさんある。

宝物殿にあるたくさんの文化財や、日本一の弘法大師像、

曼荼羅洞窟や、八十八ヵ所のお砂撫でめぐりなど、

ゆっくり見ていると、時間が足りない。

 

参拝数も、八十八ヵ所で、一番多いのだそうだ。

「今は、何かあったら救急車ですけどね。

困ったときは、石手寺と、

まだ思ってくださる方がいらっしゃるんです。

信じる力が、まだ生きているお寺なんです」と住職さん。

 

信じる力。私には、あるだろうか。

 

 

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蝶死して模様くまなく見ゆるなり  紗希

 

                                (神野紗希 記)